【世界三大ダービー リアル観戦記】イスタンブール・ダービー。人生で最も長いマッチデー ~フェネルバフチェvsガラタサライ~(後編)

先日前編をお伝えした、2005年のイスタンブールダービー観戦記

その続編を掲載します!

 

前代未聞の危険なエリアをかいくぐり、どうにかスタジアムに入った当時20代前半の私。

息つく間もなく遭遇した出来事の数々を、ぜひお楽しみいただければと思います。

 

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コアサポエリアで受けた衝撃と優しさ。そして、『テレビ中継ではわからない出来事』の数々

危険極まりない入場ゲートをなんとか通過して2階席の中央ブロック付近の階段を登った私は、視界が開けた瞬間、とんでもない景色を目にした。

キックオフ1時間半前なのに、席はおろか、通路も階段もビッシリと黄色・紺色を基調とした格好の男たちで既に埋め尽くされていたのだ。

 

おそらく、強行突破に成功して入場できた者もいるのだろう。

明らかに席数よりも多くの人間で空間が詰まっているのだから。

 

そのため、通路を歩いて移動することは不可能。上部への階段も登れない。

しかし、自分が居るのは2階席のコアサポの中心となるエリア。

そして、身長185cmくらい、しかもゴリマッチョで二の腕の所がパンパンになっているヒゲ野郎から「おい、お前」みたいに呼ばれた時には、正直、

「終わった」

と思った。

 

すると、トルコ語で何を言っているのかはわからなかったが、

「半身の体勢になれば入れるぞ。ここでやろうぜ」

のような意味だったようだ。

 

彼のまわりには5人くらい悪そうな連中がニヤついているが(本当はただ微笑んでいただけかもしれないが、そう思うにはあまりにも空気が危険すぎた)、トルコの人は日本人を非常に好いてくれているので、

「イルハン・マンスズ?(を知ってるか)」
「カラーテ(空手)」
「ソン・サムライ!(映画のラストサムライがトルコで大人気だった)」
「ドンドゥルマ(トルコアイス。あの伸びるやつ)食ったか?」

みたいなことを話しかけてくれて、コイツはヤバい連中ではなくて、見た目は危ないけど良い奴なんだな…と感じたのだった。

 

そうこうしているうちに、18:15頃、フェネルバフチェの選手たちがウォーミングアップに登場。

メインスタンドもバックスタンドも両ゴール裏も既に満員で、とんでもない声量の歓声がサラチオウルの屋根に反響して倍加する。

そして、どこからともなく、スタンド中の男どもが肩を組み、歌いながら飛び跳ねる。

 

リャリャリャリャリャリャリャリャリャーーー!
フェーネルバフチェーーー!

リャリャリャリャリャリャリャリャリャーーー!
フェーネルバフチェーーー!

 

全員が叫び、跳ぶ。

4万人の男たちが、みんな、肩を組んで。

バックスタンド2階の隅に押し込められた300人くらいのガラタサライサポーターを除き、ほぼ360度を埋め尽くして。

 

その後、逆転での首位浮上を狙うガラタサライの選手たちが、厳重な警備の中ピッチに登場する。

今度は、頭が狂いそうになほどの、耳をつんざく指笛の音。

そして、メインスタンドからもバックスタンドからも、様々な物が投げ込まれる。

 

自分が入場した時のボディチェックが非常に厳しかったので、

「よくみんなペットボトルとか持ち込めなぁ、あの警備の厳しさじゃ無理だと思ったのに…」

などと考えていたら、
よく見たら、投げ込まれた物はピッチに着地すると割れて砕けているではないか。

 

ペットボトルじゃなくてビンか! 殺す気かよ!

その様相がわかると、改めてとんでもない場所に来ちまったと実感した。

 

殺気みなぎる4万人で埋め尽くされたスタンドと、冷静にアップを続けている選手たち。

それまでに見たことのない、あまりにも対照的な光景と雰囲気に、私は完全に呑み込まれていた。

 

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当時も今も、日本ではトルコのリーグは中継されていないが、こうした光景はネット配信やテレビ中継ではきっとわからないもの。

私にとって海外へサッカーの試合を観に行くことの目的は、試合そのものを楽しむというよりも、むしろこうした『テレビ中継ではわからない、現地ならではの出来事や空気を体で味わうこと』にいつの間にか変わっていったのだが、その一番大きなきっかけとなったのはこのウォーミングアップ中の出来事だったのかもしれない。

 

ビンやらボトルやらゴミやらが投げられる中、警備隊が盾でトンネルを作った下をくぐってガラタサライの選手たちが引き上げると、フェネルバフチェのウォーミングアップも終了。

スタジアムDJが叫んでいた内容はよくわからなかったが、多分「今日勝って優勝決めようぜ」みたいなことを言っていたのだと思う。

 

そして、19時。
フェネルバフチェサポーターの大チャントの中、選手入場が始まった。

まずはホームチームのイレブンが、少しおいてアウェイチームのイレブンが駆けながら登場する。

 

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その直後、突如スタンド中で焚かれる発煙筒。

あんなに警備厳しかったのになんで2本ずつ持ってんだよ!

と、またしても驚きながら、私はその空気に没頭していた。

 

きっと、どんな展開になったとしても 2時間後にはとんでもないことになっている―。

そんな気持ちになっていた時、キックオフの笛が鳴った。




ゴール、そして…

試合は、ひとことで言えば「ハイテンション」。

あれほどの雰囲気に包まれたらどんな人間でも普通の精神状態ではないだろうが、ガラタサライがボールを持つと大音量のブーイング、フェネルバフチェが攻め込むとそれだけで大歓声になるので、おのずとひとつひとつのプレーが重みを増していった。

 

特に、今風に言うと『デュエル』でフェネルバフチェがボールを奪った時。

スタジアム中の野郎どもが4万人がかりで「●っちまえ!!」「●せ!!」みたいなことを叫んでいたのだろうから、それはすさまじいボルテージだった。

ちなみに、この試合では、一人「絶対にボールを取られない」尋常じゃないプレーヤーがいた。

 

フランク・リベリー。

マルセイユからガラタサライにレンタル移籍でプレーしていたこのシーズンの後、スターダムを駆け上がりバイエルン・ミュンヘンやフランス代表のスターとなった男である。

 

リベリーは、ボールを持つとどんなにディフェンスが寄せても騙すようにかわし、ゴールに迫る。

相手が寄せるのを嫌がると、その距離感を利用して揺さぶってから大きなストライドでぶち抜く。

リベリーの突破や大黒柱であるハカン・シュキュルのポストワークでガラタサライがチャンスを作るも、0-0のまま前半が終わった。

 

後半は、名手アレックス・デ・ソウザやFWニコラス・アネルカを中心にフェネルバフチェが徐々にチャンスを作る。

そして、65分。
ついにその時が来た。

 

右サイドからのクロスを、マルシオ・ノブレが頭でファーサイドに流し込み、フェネルバフチェに待望の先制点!

その瞬間、
フオオオオオオオ!!!

という4万人の大絶叫

 

と同時に、ゴール裏は歓喜でぐちゃぐちゃに。
そして、スタジアムの至る所から発煙筒が着火された。

 

あまりにも発煙筒の数が多すぎたため煙でボールや選手が見えない状態になり、ガラタサライボールでのキックオフまで時間があくという珍事に至ったものの、まぁトルコではよくあることなので(笑)、スタンドのボルテージが冷めることはなかった。

 

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このまま終われば、フェネルバフチェの優勝。

攻めるしかないガラタサライは3人を替えるが、理想的な展開に持ち込んだフェネルバフチェイレブンと4万人の男たちは、『絶対に崩されない鉄壁の牙城』とも思えるような空気を作った。




優勝決定の瞬間よりも、むしろその後の方が危険だった

4万人が肩を組み、勝利を確信するチャントを歌う。

黄色と紺色の選手たちは、しっかりと時間を使ったプレーに徹する。

その中で、試合終了を告げるホイッスルが鳴った。

 

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そこで、またもスタジアム中から発煙筒が。

最初は20本程度の炎だったが、徐々にスタジアムで着火する者が相次ぎ、
やがて、それは試合中をはるかに凌ぐ量となった。

 

シュクリュ・サラチオウルは、優勝を祝う『炎の海』と化した。

比喩ではなく、本物の。

 

しかし、さらなる恐怖はまだ残っていた。

その首謀者は、まさかの、クラブ。


優勝セレモニーを試合後のピッチで行い、それが終わると、
1階席の下方と2階席の屋根から盛大に花火をぶちかましたのだ。

 

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スタンドの奴らを殺す気なのかと思うようなそのセレモニー。

いかにもめちゃくちゃな、トルコらしさが全開のものだった。

 

…と、セレモニーが終わって安心していた矢先、1階席ではスタンドの金網を乗り越えてフェネルバフチェサポーターがどんどんピッチに乱入しているではないか!

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そこで興奮した2階席後方の連中が前方に押し寄せ、私が居た付近もまさかの将棋倒し状態の手前に!

私はゲートの階段に近い位置だったので急いで隙間に逃げ込み、すり抜けるように階段を下りて1階席に向かったが、脱出不可能な場所にいたら人間と椅子に挟まれて負傷をしていたかもしれない。

 

昔、多くの観客がスタンドで圧死してしまった『ヒルズボロの悲劇』などの群衆事故があったが、本音では、
さすがに今のご時世、そんな事は起きやしないだろう
と、自分には縁の遠い話だと認識していた。

しかし、この時のスタンドの状況からして、現代でも一歩間違えれば将棋倒しや圧死という事態は十分にあり得るということを、自分が実際にそんな場面に巻き込まれかけた時に初めて実感することとなった。

 

優勝の興奮と狂気で満ちたスタンドは、セレモニーが終わっても混乱した様相が続いていた。

 

歓喜の咆哮が響くカドゥキョイを背に、再び海峡を渡る

なんとかスタジアムの外に出ると、今度はそこらじゅうの車から歓喜のクラクションが鳴り響いていた。

スタジアム付近だけでなく、近隣の四方八方からも。

ただでさえ当時は交通ルールが今よりひどく、毎日クラクションの音が桁違いだったのに加え、アジアサイドの住民たちが一斉に優勝をあちこちで祝っていたのだった。

 

当然交通は麻痺し、信号もあって無いようなものに。

おもむろにチャントやコールを叫び出す連中の声に合わせて完全に渋滞した車道の車がクラクションを鳴らす。

それによってさらに歓喜の咆哮がボリュームを増す…。

そんな情景が何百メートルも続いていく、カドゥキョイの夜だった。

 

試合は21時頃に終わっていたはずなのに、時刻はいつの間にか23時近くなっていた。

イスタンブールの旧市街の宿へ帰るには、再び船に乗って海峡を渡らなければならない。
(※現在は海底トンネルが開通し地下鉄で移動可能)

船に乗り込んでいる「ヨーロッパサイドに住むフェネルバフチェサポーター」たちは、陸地で騒々しくはしゃいでいる連中とは対照的に、ひととおり騒ぎ終わった心地よい疲れからか、静かに祝杯を挙げていた。

 

日中の、イスタンブール中に漂っていた張りつめた緊張感。

逮捕上等の覚悟で入場ゲートに突進していった粗暴な男どもの群れ。

そこで響いた、群衆や警備隊の怒号。

辿り着いたスタンドで触れた、男らしさと優しさ。

完全にピッチを包囲した、烈火のようなスタンドの熱量。
(いや、そもそも本来はサッカー場であれほどの炎を見ることは無い。)

そして、イスタンブールの街中、いや、トルコの国中のあちこちで響いているであろう歓喜の雄叫びと歌声たち…。

 

そんな、長い長い、あまりにも長かった一日の出来事の熱を冷ますかのように、船は海峡の風をデッキに送り込みながら進んでいく。

その風のむこうから、ライトアップされたブルーモスク、アヤソフィア、ガラタ橋…、美しい街の姿がゆっくりと近付いてくるのを感じていた。


(了)


おかげさまでフォロワーさん23,000名突破!
世界66ヶ国を旅し 115試合を海外で観戦した経験、そして16シーズンにわたりJリーグクラブのコアサポをやっていた経験をもとに、海外サッカー・国内サッカー・代表戦などの情報や海外・国内の旅行情報、そしてマイルの貯め方も独自の視点でお届け!
20年以上前から『チケット入手のコツ』を編み出して2002年日韓ワールドカップは15試合観戦、以後W杯やユーロ・CL観戦も繰り返し、2019年ラグビーワールドカップも日本戦を含め開幕戦から決勝まで13試合を観戦。
2024年の夏は子連れ海外サッカー観戦旅行の練習としてマイル使って家族で韓国に行ってきました。
今年も5月にマイルで渡韓予定で、来年は満を持して家族でヨーロッパ旅行を目指しています^^

ブログに書けない内容は「サカ×マイル」のX(旧ツイッター)でもお伝えしています!
 @saka_mile_blog

(この記事の情報は2005年時点のものとなります。)

 


私は以下の記事の方法で、お金をかけずに海外旅行も国内旅行も繰り返しています!
     

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